九龍城
それは香港のクーロン地区に存在した城塞。
その跡地に中国大陸から流民がなだれ込み、スラム街として肥大化。
1960年代から高層ビル化がはじまるが、無計画な増築により、まるで迷路のような魔窟と化す。
まさにアジアン・カオス。
その「東洋の魔窟」には、住居はもちろんのこと、食品加工やさまざな工場、飲食店、ホテル、病院、学校、そして売春宿まで、あらゆるものが存在したと言われ、犯罪の温床であった。
ちなみに。
かつて人気だった刑事ドラマ「Gメン75」の舞台として何度も取り上げられ、倉田保昭が演じるアクション刑事がムキムキマンと戦う様子に、まだ純朴な少年であった隊長のワタクシは、手に汗を握りながら画面にかじりついていたものだ(笑)。
怪しいところは面白い。
恐ろしいところほど覗きたくなる。
ワタクシは九龍城の写真集や図解本を今でも大切に持っている。
残念ながら香港の九龍城は1993年から取り壊し工事がはじまり、今はすっかりキレイな公園になってしまった。
犯罪は困るけれど、あれはあれで重要な遺産になったと思うんだけどなあ。
つくづく残念だ。
しかし!!
その九龍城が三重県の津市にあるという!!
公式に誰かが言っているわけではないが、
「ほら、大門のあそこ、観音さんの近くにある九龍城みたいなところ」
と言うと、津市民であればかなりの人が、「あ、あそこか!」とわかる。
もちろんそこは犯罪の温床でも魔窟でもない。
雰囲気がそんな感じなのである。
店を出すなら、あそこがいいなあ、と前から思っていた。
で、調査にGOなのである!!
というわけでやってきたのは、大門商店街・飲食店街。
ひとつ上の写真が観音さん側からの入口。
すぐ上の写真がその反対側の入口の様子である。
建物のコンクリの風合いがええ感じ出してるでしょ?
怪しい感じがするでしょ。
たまんないでしょ。
うふふふ。
ちなみにこの商店街は2つの大きな建物から成り立っている。
どちらも昭和31年建造。
まもなく60年を迎えようとする建物たちである。
そして!
前回の物件探しのあと、怪しく密談していたこの人!
近澤さん!
実はこの人はこの商店街の理事長!
前回お願いをして今回案内をしていただくことになったのである。
彼の腕をがっつりつかまえて離さないのが、店の女将となる寿実ちゃん。
「いいお店を紹介してくれるまで離さないから!! どこまでも付きまとうから!!!」
あのね、寿美ちゃん。
いきなり寝技に持ち込むのはやめなさい。
見てみなさい、近澤さんの顔!
ビミョーに怯えてるじゃないか!!(笑)
てなわけで、商店街の探索はじめ〜!!!
商店街は車も通れるメインのアーケードを中心に右と左に分かれている。
それぞれの建物の中を、北通り、南通り、と、ふたつの通路が貫いている。
これが渋いのだ!!
川崎かどこかに九龍城を模したようなゲームセンターが出来て人気のようであるが、ここは本物である。
本物すぎて、つくられたテーマパークのように感じる。
これなんぞラーメン博物館の一角にあるような光景ではないか。
いや、ナンジャタウンの餃子のコーナーか(笑)。
あえてつくろうと思ってもなかなか出来ないぞ、これ。
この看板の字体も最高!!
酔っ払って目が回る〜って感じ(笑)。
いやー、ここにお店を出したいなあ。
できれば、居酒屋だけじゃなくてスナックとかパブとか、昔のまんまのイメージでやりたいなあ。
「スナックすみ」なんてもうバッチリすぎるネーミングじゃないのさ!
せっかくなので物件も見せていただいた。
この飲食店街は、基本的に5坪の店ばかり。
それが70店舗以上も存在するのだ。
カウンターのみ。
6人も入ったらいっぱいのお店。
商売として成り立つか否かは置いておいて、これはなかなかすばらしいのだ。
こういう店でくだを巻いて飲んでいたいなあ(笑)。
なんと2階には座敷もあった。
が、階段が急すぎて狭すぎるのでお客さんを通すことは無理そう。
お客さんを入れても料理やドリンクを運ぶのは到底ムリだ。
いやー、それにしても楽しいなあ。
ここに住みたいぐらい(笑)。
ワタクシが思わずそう口にすると、近澤さんが、
「住んでみますか?」
などという。
え?
どういうこと?
「実はこの商店街の上には住居もあるんですよ。
見てみます?」
みるみるみるみる〜!!!!
というわけで、次回、大門商店街のさらに奥へと潜入する〜!!!!!!!